「縄練(基礎練)」の内容・取り組み方で1年後のレベルが大きく変わる -ダブルダッチ-
縄練(基礎練)とは
日本のダブルダッチ界では、「縄練(基礎練)」と呼ばれる練習を行うことが幅広く行われています。
縄練(基礎練)とは、ダブルダッチの基礎である縄回しを練習することで、ある決まった動き(ルーティーン)を音楽のビートに合わせて行うことが一般的です。
例えば、以下のような感じです。
- ベーシック回し 1曲
- スライド 1曲
- A面(ターナーターン) 1曲
- ダブルアンダー(2重) 1曲
- ハリー(2倍速) 1曲
1曲、の代わりに、3分、のように時間で区切ることもあります。
ダブルダッチは回すのが非常に難しいので、日常的に縄を回す練習をすることは重要です。
縄練(基礎練)の目的
初心者(1年生):ひとえに技術の向上
中級者(2年生)以上:初心者に教えること。また、自分よりうまくない人と回すことによる技術の向上
グループとして:基礎技術の共有、一体感の醸成
縄練(基礎練)に対する所感
1. 縄練(基礎練)は時間がかかるので、練習時間の取れる中学~大学生が練習の中心に据えている
中学・高校生の例をあまり知りませんが、大学生では、縄練(基礎練)がサークル・チーム全体練習のほとんどを占めている場合も多いです。
社会人は練習時間が多く取れないので、縄練(基礎練)を行っているところは少ないでしょう。社会人の場合は、大会やイベントに出演するために練習することが多いので、基礎的な練習より本番に向けての練習がメインになっている印象です。
2. 縄練(基礎練)が当たり前の基準になっている
以前の記事にも書きましたが、(環境の)当たり前の基準をどこに置くのかは非常に重要です。縄練(基礎練)は、確実に当たり前の基準になっています。
3. 種類の少ない技を、1年を通して同じことを行っており、うまくなればなるほど、技術が向上しにくくなっている
上記で例に出した5つの技は、長年ダブルダッチ界で基礎技の代表例とみなされており、習得する必要は十二分にあります。
しかし、同じ技を同じように練習するだけでは、ある程度のレベル以上になれない、または、なるのにかなりの時間を要します。
この図は概念図ですが、いわゆる、サチる(飽和する、収束する)ってやつです。
さて、以下ではこの3番目についてもう少し考えます。
なぜずっと同じ技をやるのか
私が考えるに、大きな理由は下記の通り。
- 縄練(基礎練)をやるのは生徒・学生。毎年1年生(初心者)が入ってくるので、レベルの高い技を入れにくい
- 運営する人が1年ごとに変わるので、ここに問題意識を持ちにくい。問題意識が芽生えても、次の代に共有しない/できない
その問題点は、上にも書いた通り、
上級生の技術が向上しにくい
ことになります。
解決方法
- 長期的な展望を描く指導者を据える(コーチ、監督) => 短期的に取り入れにくい
- 取り入れやすい具体的で分かりやすい例をWEB上に載せ、望ましい縄練(基礎練)を広く周知していく
ということで、私がやりたいのは2です。
ちなみに、ダブルダッチ界では、小中高では指導者(コーチ)が教える、大学生は自分たちだけで練習するというのが一般的でした。
最近では、大学生にもコーチを採用する動きが出てきており、大学卒業後のダブルダッチとの新たな関わり方として注目されそうです。この話はまた別の機会に。
理念:私が望ましいと思う縄練(基礎練)
私自身の経験、私が教えた経験、その他の考察、を総合すると、
色々な技に挑戦している人は、縄の扱いがうまく、新しい技の習得が早い
となります。この「縄の扱いがうまく、新しい技の習得が早い」ことを縄がうまいことと定義し、縄練(基礎練)の目指すべきところとします。
つまり、同じ技をずーっと繰り返し行うだけではなく、多様な技を習得していく、ことをベースにします。
ただし、気をつけたいことは、練習の度にやる技全てを新しいものにするのはやりすぎかもしれない、ということです。
エビングハウスの忘却曲線も参考にして、1つの技につき2週間~1ヶ月程度は繰り返し練習をした方が良いと思います。
練習時間に制約があることを考えると、応用範囲の広い技は長めにやってしっかりと体に馴染ませる、といった工夫も効果を発揮するはずです。
この理念を元に、どういった縄練(基礎練)を行えば良いか、をこれからの研究対象に加えます。
次回の記事では、現時点で私が良いと思っている縄練(基礎練)について書きたいと思います。