フリースタイルの減点 - IJRU Technical Congress blog 3
-----注意-----
この記事はIJRU TECHNICAL CONGRESS blogの記事を基に筆者が書いています。
記事の内容、翻訳の内容はできるだけ正確に書くようにしていますが、この記事(日本語)はIJRU, FISAC-IRSF, WJRFの公式発表ではありませんのでご注意ください。
また、誤字脱字、内容の間違いにより生じた損害等に対する保証はできませんので予めご了解ください。
公式発表はIJRUオフィシャルHPなどの原典を参照ください。
・を使って箇条書きで示されている部分はブログ内容の要約
その他は筆者の解説など
という風にします。なお、IJRUから翻訳の許可を頂いているため著作権的に問題はありません(但し、上記の通りIJRU, FISAC-IRSF, WJRFに翻訳の結果はチェックされておらず、3団体に内容の責任はありません)。
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今回のもとの記事はこちらです。(11/07更新記事)
- 今回のブログでは以下に示す4つの減点について
- 1. ミス
- 2. リクワイヤード・エレメンツ
- 3. エリア減点
- 4. タイム減点
- 以下では、それぞれについてなぜ減点されるべきなのか、そして、どのジャッジが減点をチェックするのかを考える
減点ジャッジ
- IJRU(International Jump Rope Union)では、減点ジャッジがミス、リクワイヤード・エレメンツ、エリア減点、タイム減点を見ることになる
- 各ジャッジ(減点ジャッジ、ディフィカルティ(コンテント)ジャッジ、プレゼンテーションジャッジ)のタスクを減らすために、新たに減点ジャッジを置くこととした
- 各ジャッジは1度にやることが減り、更に正確なスコアを提供できるようになる
ミス
- FISAC-IRSFとWJRFのどちらもメジャーミス、マイナーミスを設定しており、メジャーミスがマイナーミスより大きな減点であった(メジャーミスが2秒以上、マイナーミスが2秒未満にリカバリー)
- ジャッジに2秒を判別するのは非常に主観的で、ジャッジによって結果が異なることがありうる
- よって、(2020年の大会では)ミスは「ミス」という1種類にすることにした
- ミスの時間的な長さによって演技の点数が変わるべきではあるが、これはプレゼンテーション点が低くなることでカバーされている
- ミスは「意図的でない縄の停止」と定義する
- 例えば、競技者がグリップを落としたり、リリース中にグリップをキャッチし損ねた場合、ミスと認定される
- バブルの時、すなわち、縄が体に当たったが跳び続けている場合はミスにはならない(その代わり、プレゼンテーション点数は低くなる)
エリア減点
- 競技者の体の一部が競技エリアの外に出た時点でエリア減点が取られる
- 縄の弧、体の一部(手や足を含む)が空間的にエリアの外に出ていても減点は取られず、あくまでもエリアの外の床に触れた時に減点となる
- このようなルールにした理由は、ジャッジをすることが非常に困難になるからである(ジャッジの反対側の端で外に出たかをジャッジは判断できない)
- また、外に出た縄が他の競技者を邪魔することはほとんど考えられないため問題ない
- 競技者が競技エリアの外に出た場合、再度エリアに戻ってくるまでどんな技もカウントされない
- 1人が複数回競技エリアの外に出た場合、チーム競技で複数人が競技エリアの外に出た場合、エリア減点が複数取られることがある(1人1回につきエリア減点の数が増えていく)
- エリア減点を設けている理由は、競技者によって本番環境に差が出ないようにするためである
- エリア減点は上記で定められているミス1つと同じ減点になり、生スコア(減点が行われていないスコア)から引かれる
- ミスやエリア減点でどの程度減点されるか、詳しい数値はまだ決まっていない
タイム減点
- 今までのやり方からルールを変更することに決めた
- 全体としての見た目を損なうとの理由から、競技フィギュアスケートのように、(スタート、xx sec、ストップなどの)コールを行わないことにした
- フィギュアスケートでは時間を知らせる合図は必要ない
- このゴールに向けて、45秒という最低競技時間を撤廃することとした
- 世界大会レベルでは、45秒以下で演技を行ってもチャンピオンになれるとは到底思えないので問題ない
- 全ての競技者は事前に75秒を超えない音源を提出することになる
- この方法では、音楽がストップしたあとに演技を続けているとタイム減点となる
- もし提出した音源が75秒を超えており、75秒経過後も演技を続けていた場合はタイム減点となる
- 音源を75秒以内にするのは競技者とコーチの責任である
- 音楽が始まる前に演技を開始した場合もタイム減点となる(音楽トラックがタイム減点のタイミングとして使われているので、それより前に動き出すことが問題であることは自明である)
- タイム減点は1つにつきミス1つと同じ扱いとなる
- 上記ルールはオープントーナメントやユーストーナメントでは適用されないかもしれない、なぜならば、時間や音楽の要件が異なるかもしれないから
- オープントーナメント、ユーストーナメントのルールは現在調整中である
リクワイヤード・エレメンツ
- リクワイヤード・エレメンツについて、詳細は来週のブログで発表するが、本日は減点ジャッジによってどのように評価されるのかを少しみていくことにする
- リクワイヤード・エレメンツは、演技がダイナミックで全ての要素を満たしたフリースタイルジャンパーになって欲しいという理由から存在している
- 競技者は多回旋技、パワー体操系技、縄を扱う技、相方とのインタラクション技、ターナーを巻き込んだ技、を行う必要がある
- リクワイヤード・エレメンツは種目によって少し異なる
- リクワイヤード・エレメンツが満たされていない場合、生スコアから減点されることとなる
- FISAC-IRSFのシステムではディフィカルティ、プレゼンテーション点に加え、リクワイヤード・エレメンツを加点として捉えていた
- これらリクワイヤード・エレメンツのために行われる技はディフィカルティやプレゼンテーションで点を与えられているので、更に加点させることは適切ではないと考えている
- それよりは、できていないことで減点するWJRF方式の方が適切だと考えている
- どの程度の減点になるのかは現段階では決まっていない
コミュニティーからのコメントと返信
- Q1: 団体総合に出場する5人のSingle Ropeチームがいて、ある2人がペア2重とびかペアフリースタイルに出たとき、残りの3人のうち2人はペア2重とびやペアフリースタイルには出場できる?
- A1: (SRペアフリースタイル、SRペア2重とび、DDシングルフリースタイル、DDスピード1x60などにおいて、)それらの選手が(各国)予選を通過しており重複していない限り出場できる。団体総合として登録されているチームのみが総合の順位に関係する。団体総合とは関係のない1種目だけ出場するチームは、団体総合の順位を決める時には除外される。
- Comment: 数週間前に発表した、2020年大会の種目選定に関して多くの肯定意見を頂いている。逆に、いくつかの懸念点も頂いている、特に3重とびを個人総合に入れることに関して。懸念点は、3重とびが「本質的に競技者にとって有害である」ということと、「極限の疲労状態」に競技者をおくべきではない、ということである
- A: 3重とびがFISAC-IRSFにおいて個人総合に入っていたが、コーチ、競技者、保護者からの不満の声(3重とびは体に悪い、競技者の関節に不要なストレスを与えている)を基に除外されたという事実を、技術委員会は認識している。技術委員会は競技者の健康と安全をとても重視しており、過去に行われた3重とびに特化した医学的知見を調査している。また、3重とび以外の種目についても健康/安全に潜在的な問題がないか調査する必要があることをIJRUボードメンバーに提言している。単なるうわさではなく、実証データを基に決断することが重要だと考えている。現時点では、3重とびが他の種目に比べてけがを誘発しやすいとは結論付けられていない。
- A(cont.): いくつかの国では3重とびが競技として行われていることは事実である。適切なトレーニングとコンディションがあれば、潜在的なリスクのいくつかは回避できる。例えば、ハイレベルで戦っている競技者は、関節をサポートするための筋肉を確保するため、クロストレーニングやウェイトトレーニングを行うことは重要である。この点において、IJRUはコーチと競技者を教育すること(でリスクを低減すること)ができる。
- A(cont.): 多くのスポーツで、競技者の極限の耐久性を評価している。例えば、マラソンは耐久性を評価している。なわとび競技者はすでに多くの種目で耐久性を評価している。他のスポーツではそれぞれの限界に挑戦している。例えば、ウェイトリフティング、高跳び、トラック競技では、競技者に限界ギリギリまで続けるように求めている。技術委員会は3重とびがそれらの競技と比べて大きな違いはないと考える。人間の能力の限界を押し広げることは、競技スポーツの1つの側面であり、この理由だけで3重とびが総合部門から外されることは正しくないと考えている。
- A(cont.): 最後に、数週間前に発表された種目はWorld Championshipsでの種目であることに注意して頂きたい。ユーストーナメントやオープントーナメントについてはまだ発表していない。長期間の競技者育成と競技者の身体成長を考え、ユーストーナメントやオープントーナメントではいくつかの種目で時間や技などの修正が行われるかもしれない。
非常に長いですが、重要なことは下記4点です。
- 減点ジャッジが導入される
- ミスが1種類になる
- 演技のスタート、途中、最後で、今までにあったコールが無くなる
- リクワイヤード・エレメンツは減点方式になる
次回はリクワイヤード・エレメンツについての詳細が出てくるそうです。