要求点(リクワイヤード・エレメンツ) - IJRU Technical Congress blog 4
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この記事はIJRU TECHNICAL CONGRESS blogの記事を基に筆者が書いています。
記事の内容、翻訳の内容はできるだけ正確に書くようにしていますが、この記事(日本語)はIJRU, FISAC-IRSF, WJRFの公式発表ではありませんのでご注意ください。
また、誤字脱字、内容の間違いにより生じた損害等に対する保証はできませんので予めご了解ください。
公式発表はIJRUオフィシャルHPなどの原典を参照ください。
・を使って箇条書きで示されている部分はブログ内容の要約
その他は筆者の解説など
という風にします。なお、IJRUから翻訳の許可を頂いているため著作権的に問題はありません(但し、上記の通りIJRU, FISAC-IRSF, WJRFに翻訳の結果はチェックされておらず、3団体に内容の責任はありません)。
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今回のもとの記事はこちらです。(11/14更新記事)
- 今回の記事は要求点(リクワイヤード・エレメンツ、以下リクエレ)について
- FISAC-IRSFとWJRFのリクエレとは少し内容が異なっている
- リクエレとは、演技を面白くダイナミックにしてお客さんに楽しんでもらうために、競技者に多様なスキルを示してもらうものである
- リクエレは、単にパワー系や多回旋系といった1つの種類に頼るのではなく、異なる種類のフリースタイルスキルを行わないといけないため、総合的なフリースタイル競技者になることを促す役割もある
- 技術委員会の見解では、FISAC-IRSFのリクエレは多すぎて、創造的でエンタテインメント性のある演技にしようとする競技者の能力を制限している
- 一方、WJRFではリクエレにあまり重きを置いていなかった。競技者に1つの技を求めるだけでは、ある要素の基本的な能力を持っていると示すには不十分である
- IJRU(International Jump Rope Union)の大会では、リクエレは減点ジャッジにより採点される(減点ジャッジはミス、タイム減点、エリア減点も見ている)
- ゆえに、リクエレで満たされていない項目の分だけ減点されることとなる
- リクエレのディフィカルティ(難易度点、技点)部分はディフィカルティジャッジによって採点される
- つまり、(WJRFのルールにあったような)リクエレにディフィカルティが紐づくことはない。例えば、レベル1のパワー系の技もリクエレの技として認められる
シングルロープ リクワイヤード・エレメンツ
4つの異なる多回旋技
- 多回旋は2重、3重、4重のどれでも良い
- FISAC-IRSFのルールでは、多回旋は1セットあたり4つ行わなければならなかったが、IJRUではセットで行う必要がなくなる
- 勿論、4つの多回旋を連続で行っても良い
- 競技者に多くのセットを求めて演技の制約を増やしたくないと考えている。制約によってフリースタイル演技がつまらなくなってしまうから
4つの異なる体操系・パワー系技
- 合計で4つの異なる体操系・パワー系の技が求められる(例えば、体操系1つ+パワー系3つ、パワー系4つ、など)
- 体操系とパワー系を分けないことにより、競技者に少し自由度が与えられ、技が安全に行われるようになることが期待される
- リクエレの減点を避けるために、完璧ではない体操系の技を行うことはやめて欲しいと思っている(だから、体操系とパワー系を分けないようにした)
- 体操系とパワー系の技はどちらも強さと体力を評価するものだと考えるので、交換可能だと認識している
- リクエレにディフィカルティを関連させないと決めたため、競技者はパワー系の技から着地するときに自分の体の下を縄が通る必要はないが、着地後に縄を跳ばないとカウントされない
4つの異なる縄操作系技(ラップ、リリース)
- 合計で4つの異なるラップ・リリース技が求められる
- ラップ、リリースは複雑な縄操作を行う能力を示すためのものであるため、どちらも似たように取り扱えると考える
- ラップの場合、ラップ(巻くこと)とアンラップ(ラップ状態からほどくこと)で1つの"ラップ"として認められる
- リリースの場合、縄を放し、キャッチすることで1つの"リリース"として認められる
- グリップを放し、体の手以外の部分でキャッチし、そのまま体にラップからアンラップし、グリップを手でキャッチした場合、1つの"リリース"と1つの"ラップ"としてみなされ、この一連の動作で2つの要求を満たしたことになる
- リクエレのラップやリリースでは縄を跳ぶ必要はないが、跳んでいない部分に関してはディフィカルティジャッジの点数はない
4つの異なるインタラクション技
- ペアとチームフリースタイルについて、インタラクション(他メンバーとのやり取り)技が求められる
- ペアやチームフリースタイルでインタラクション技があれば観るのが魅力的なイベントになる
- インタラクション技はペアやチームフリースタイルを他の個人単なわとびイベントと差別化する要素でもあり、競技者にこの技を入れることを奨励したい
- 単なわとびでのインタラクション技とは、スクープ(scoop, 縄を持っている1人が跳ばず、縄を操作していないもう1人を跳ばせる技)、補助ありの宙返り技、重なった状態のパワー系の技、グリップの交換技、などがある(これらの技だけに限定されない)
シングルロープ 追加情報
- 単なわとびペア、チームフリースタイルでは、全ての競技者がリクエレを同じタイミングで行わなければならない
- 例えば、スクープドンキー(フロッグ)は、インタラクション技だけである(2人が行っていないので、体操系・パワー系技には入らない)
- 1つの技で2つ以上のリクエレを満たすことがあり得る、例えば、ダブルアンダードンキー(フロッグ)は多回旋技と体操系・パワー系技、の2つのリクエレを満たす
- グリップを保持していない場合にはリクエレは満たされない、例えば、競技者が縄を床に置いた状態で体操系の技を行った場合、なわとびの技とは認められず、体操系・パワー系の技としてのリクエレを満たさない
- リクエレにカウントされるためには、競技者はグリップを保持したまま技を行い、その技が終わったすぐ後に縄を跳ばなければならない
ダブルダッチ リクワイヤード・エレメンツ
4つの異なる体操系・パワー系技
- 合計で4つの異なる体操系・パワー系の技が求められる(例えば、体操系1つ+パワー系3つ、パワー系4つ、など)
- 例えば、ドンキー(フロッグ)からスプリットにいき、そのままプッシュアップをしてクラブを行った場合、4つの異なるパワー系の技としてリクエレを満たす
4つの異なるターナーインボルブメント技
- ダブルダッチ演技をダイナミックにし、難易度を上げて観ていて面白い演技にするため、ターナーインボルブメント技が求められる
- ターナーインボルブメント技とは、例えば多回旋(2重、3重、など)、ホイール、片手や両手を制限された状態にする技、ジャンプスルー、縄を保持しながらパワー・体操系の技を行う、などがある(これらの技だけに限定されない)
4つの異なるインタラクション技(ダブルダッチペア、トライアッドフリースタイル)
- ダブルダッチペア、トライアッドフリースタイルにおいて、演技をダイナミックにするために、また、シングルスフリースタイルと明確に違いを出すために、インタラクション技を行う必要がある
- インタラクション技とは、互いに接触している状態を作るか、互いの上か下を動き回る技である
- 例えば、サブウェイ(プッシュアップしている人の下を90度回転した角度でプッシュアップしながら抜ける技)、補助宙返り、馬とび、積み重なった状態のパワー系の技、腕を絡ませた技、などがインタラクション技として認定される
- 競技者全員が同じ技を行う必要はない
- スイッチ(ターナーとジャンパーが替わる技)はインタラクション技とは認められない
縄の中で4つの技
- ジャンプとターンのどちらにも長けていると示し、ダイナミックでエンターテインメント性のある演技にするため、それぞれの競技者はジャンパーとターナーのどちらにもならなければならない
- このリクエレを満たすためには、それぞれの競技者は縄の中で4つの技を行う必要がある
- 4つの技を連続で行う必要はなく、例えばジャンパーで2つの技を行ってターナーになり、その後再度ジャンパーになって更に2つの技を行えば4つとカウントされる
ダブルダッチ 追加情報
- 上記のリクエレはチームの全員が行わなければならないものではない
- 例えば、4つの体操系・パワー系の技を1人の競技者が行っても良い
- ダブルダッチペア、トライアッドにおいて、全てのジャンパーが同じ体操系・パワー系の技を行う必要はないが、同時に行う必要はある
- 例えば、ダブルダッチペアで1人がプッシュアップ、他の1人がドンキー(フロッグ)を同時に行った場合、1つの体操系・パワー系のリクエレとしてカウントされる
- 同様に、ダブルダッチトライアッドにおいて、2人が前方宙返りをして残りの1人が後方宙返りをした場合、1つの体操系・パワー系のリクエレとしてカウントされる
- 1人がプッシュアップ、もう1人がサイドストラドル(グーパーとび)を行った場合、サイドストラドルはパワースキルではないため、体操系・パワー系のリクエレとしてカウントされない
- 唯一の例外は、補助をする体操系・パワー系の技であり、1人が補助をして1人が体操系かパワー系の技を行った場合、リクエレとしてカウントされる
- この理由としては、補助を行うことも強さやパワーが求められるためである
- 例えば、補助空中系の技は1つの体操系・パワー系の技のリクエレとしてカウントされ、1つのインタラクション技にもカウントされる
- 縄の外で行われた技はリクエレとして認められない
- 例えば、縄の外でロンダートを行った場合、体操系のリクエレとは認められない
コミュニティーからのコメントと返信
以前のブログ記事に対するフィードバックです。
- Comment1: メジャーミスとマイナーミスの2つのミスを残すべきで、2秒ではなく、2ビートでやればよい
- →Answer: 2ビートとしても主観的に判断せざるをえず、また、曲のテンポによって2ビートの長さが違うのが問題だ。技術委員会としては、どんなミスにせよミス1つにつき同じ点数を引いていくべきだと考える。バブル(縄が体に当たったが跳び続けている場合)はミスではないが、プレゼンテーションスコアが低くなる要因である。このルールによってフリースタイルの審査結果が更に安定したものになる
- Comment2: スピードでジャンパーが境界におり、片足はエリア内、もう片足はエリア外にいるという状況があった場合、スピードカウントする必要はないが、外に出ている足が着地する度にエリア減点をとる必要もない
- →Answer: 次のミーティングで協議します。例えば、エリア減点を続けて取る場合は技を1つ完了しないといけない、などの文言を追加することで対応できる可能性がある
- Q1: 音源ファイルの長さを使用機材がきちんと読まなかった場合はどうなるのか
- →Answer: 同じ機材を使うことで不公平なことにはならないが、音源の長さを常時適切に測ることができるように考えていく予定である
- Q2: ミスの定義から"意図的でない"という言葉をなくし、もっと明確な文言にできないか。意図的かどうかをジャッジが判断することは主観的であり、技術委員会は主観性を排除しようとしているのではないかと思っている。例えば以下のようにできないだろうか。
- [案] ミスとは下記のうちのどれかに当てはまるもの
- (1) ラップする、縄の向きを変える、縄を体でキャッチする、ポーズ中に縄をキャッチする、を除き縄が止まった時
- (2) リリース中に縄を掴もうとしたが縄のどの部分もキャッチできなかった時
- (3) 技中に手から縄が離れた時
- →Answer: これは技術委員会が更に考えなければならないことだ。確かにミスは明確に定義されるべきで、あなたの文言は検討させてもらう。現時点では、あなたの案に対する他の人からのフィードバックを聞きたい。ミスを適切に取るために、この文言に付け加えることはあるだろうか。
今回はリクエレの記事でした。大事なことは、
FISACのシステムに慣れている人にとっては、大幅にリクエレルールが緩和された
WJRFのシステムに慣れている人にとっては、少しリクエレルールが複雑になった
と感じるだろうということです。