フリースタイルスコアの計算 - IJRU Technical Congress blog 8
-----注意-----
この記事はIJRU TECHNICAL CONGRESS blogの記事を基に筆者が書いています。
記事の内容、翻訳の内容はできるだけ正確に書くようにしていますが、この記事(日本語)はIJRU, FISAC-IRSF, WJRFの公式発表ではありませんのでご注意ください。
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公式発表はIJRUオフィシャルHPなどの原典を参照ください。
・を使って箇条書きで示されている部分はブログ内容の要約
その他は筆者の解説など
という風にします。なお、IJRUから翻訳の許可を頂いているため著作権的に問題はありません(但し、上記の通りIJRU, FISAC-IRSF, WJRFに翻訳の結果はチェックされておらず、3団体に内容の責任はありません)。
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今回のもとの記事はこちらです。(12/12更新記事)
今回の記事は非常に重要なテーマを扱います。フリースタイルスコアの計算は、FISAC-IRSF、WJRFの既存とは異なるシステムになっていますので注意してください。
- フリースタイルはディフィカルティとプレゼンテーションの2つの大項目で審査される
- これは、競技者になわとびというスポーツの境界を押し広げる演技を作ることを奨励するとともに、演技が観ていて楽しいものにすることに寄与している
- 2つの項目についてどのようにスコアを計算するかは以前のブログ記事に書いた
- この記事では、2つの項目がどのように合わせて計算されるのかについて書く
- できるだけ数字を使わないように説明するが、最終的にはスコアとは数字に依ってしまうものだ
- ディフィカルティが演技の基盤であることを多くの人がコメントした
- 我々のスポーツはイノベーションと基準レベルのアップの歴史の上に成り立っており、多くはコンテント(≒ディフィカルティ)によるものである
- 我々は競技スポーツのルールを作っており、採点のベースに技術的な側面を持たせることは重要である
- しかし、これはプレゼンテーションが重要でないということではない
- 我々のスポーツが発展するためには、なわとびを全く知らない人達に対して、なわとびが近づきやすく、魅力的であることが必要である
- 冷たく、機械的で、技術的な演技は記憶に残らず人々を引きつけることはできない
- エンターテインメント性は素晴らしい第一印象を作り上げる
次のルール
- FISAC-IRSFとWJRFはどちらもディフィカルティとプレゼンテーションを採点しているがやり方は異なる
- 最も最近のFISAC-IRSFルールは、ランキング制を採用していた
- これは、ディフィカルティとプレゼンテーションで別々に順位を出し、このランクの合計で勝者を決めていた(おかもん注:ディフィカルティ2位、プレゼンテーション3位の人は5点、という具合)
- このシステムの利点は、ディフィカルティとプレゼンテーションをバランスの取れたポイントシステムにする必要がない点だ、なぜなら、(点数ではなく)順位が重要だからだ
- 欠点は、ランキング間での得点差が全く考慮されないことだ。例えば、2人がプレゼンテーションで非常に近い順位でディフィカルティで順位が離れていた場合、ディフィカルティの大きな差に対して相当のポイントを与えることが適切なように見える。しかし、実際の点数での1ポイントの差と100ポイントの差が反映されないのである
- 極端な例かもしれないが、これは我々の理想とするアプローチではない
- WJRFのルールでは、スコア計算はディフィカルティとプレゼンテーションの目標値に分解される
- この方法で、WJRFはディフィカルティとプレゼンテーションの望ましい割合に応じた目標値を設定した
- 残念ながらこの方法は全てのレベルに適用させようとすると非常に難しく、また、スポーツが発展するごとに変化してしまう
- 低いレベルの時にはプレゼンテーション点が相対的に高くなり、プレゼンテーションが結果に大きな影響を与える
- 高いレベルの時には、非常に密度高く難しい演技がディフィカルティスコアを上げ、プレゼンテーション点の寄与が限定的になる
- この場合、往々にしてハイレベル競技者はプレゼンテーションに重きを置かず、難しい技を演技に入れることに多くの時間を費やすことになる
ゴール
- 我々の考える理想のシステムは下記を満たす:
- -全てのレベルの競技者に適切である
- -ディフィカルティをスコアのベースに置く、高いレベルにおいては難しい演技なしに勝つことはできない
- -素晴らしいプレゼンテーションは高く評価され、プレゼンテーションが低ければ評価が下がる
- -プレゼンテーションが十分に重要視される。我々はプレゼンテーションに非理想的な側面(繰り返し技など)も取り入れているため、全てのレベルのランキングに影響を与えられる必要がある
アプローチ
- ディフィカルティをベース点として用い、プレゼンテーションをパーセンテージでプラス/マイナスする方法に移行する
- 例えば、コンテント(≒ディフィカルティ)で100点を取り、低いプレゼンテーションで-40%となったとしよう
- この競技者は合計で60点となる
- 同様に、コンテント(≒ディフィカルティ)で50点を取り、プレゼンテーションで+30%となった場合、合計で65点となる
- まだ具体的な数値を出すまでに至ってはいないが、スタート時点では±0%で、演技中にジャッジが様々な項目でポジティブ、ネガティブと判断し、最終的にいくつかの値になる
- この方法の利点は、全てのレベルにうまく適用できることである
- プレゼンテーションの調整はパーセントなため、簡単な演技、難しい演技のどちらにも対応できる
- ディフィカルティをベースに置いているので、とてつもなくエンターテインメント性のある演技でも、(ディフィカルティ的に)簡単な演技で取れる点数の上限は高くならない
結論
- このアプローチでは全てのレベルでプレゼンテーションに重みが出る
- 素晴らしいスキルを持った演技が、多少簡単でも素晴らしいプレゼンテーションを有する演技に負けることがありうる
- WJRFのシステムと比べると、全てのレベルに対して矛盾がなく、調整する必要がない
- FISAC-IRSFのシステムと比べると、バランスを取りつつ、ディフィカルティとプレゼンテーションのどちらもで他の競技者より素晴らしかったところを評価できる