2020年なわとび世界大会、勝つ演技の要素 - IJRU Technical Congress blog 2
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この記事はIJRU TECHNICAL CONGRESS blogの記事を基に筆者が書いています。
記事の内容、翻訳の内容はできるだけ正確に書くようにしていますが、この記事(日本語)はIJRU, FISAC-IRSF, WJRFの公式発表ではありませんのでご注意ください。
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・を使って箇条書きで示されている部分はブログ内容の要約
その他は筆者の解説など
という風にします。なお、IJRUから翻訳の許可を頂いているため著作権的に問題はありません(但し、上記の通りIJRU, FISAC-IRSF, WJRFに翻訳の結果はチェックされておらず、3団体に内容の責任はありません)。
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今回のもとの記事はこちらです。(10/31更新記事)
長いので重要でない部分は省略します。今回は、「勝つ演技の要素」について。
冒頭
- 勝つ演技の要素を洗い出し、そこから具体的なルールに落とし込むことにした
- 要素抽出に向けて、ノルウェーで行われた会議では下記の質問をした
- 1. 何(の要素)が観ていて楽しい演技にするのか
- 2. どんな要素にポイントを付けるべきか
- 3. 減点される要素は何か
- この質問から始まる議論により、下記で示される「勝つ演技の要素」が特定された
- 以下では、それぞれの要素を挙げ、なぜそれらが選択されたのかを説明する
勝つ演技の要素
多様性(スタイルとスキルの両方)
- 演技は観て楽しいものでないといけない、と技術委員会は考える
- 同じ技を避け、多様な要素(例えば、多回旋、パワー/体操、縄捌き、インタラクション、ターナーとの関与、など)を採り入れることが1つの方法である
オリジナル(Unique(唯一)で他と違う何か)
- 新しい、エキサイティングな技を競技者が創り続けることでこのスポーツが前進する
- これは、ジャッジシステムにオリジナリティ点を与えることで可能になる
プレッシャーがかかる状態での演技(大会での、また、観客の前での)
- トップ競技者は、観客の前でプレッシャーがかかった中で自分たちのレベルを示すことが必要である
- チャンピオンが他の人と違うところは、ここぞと言うときにしっかりと演技できることである
- よって、ミスの少ない演技が報いられるようなジャッジシステムにする
テクニカル(適切なフォーム)
- うまい演技というのは、往々にして観ていて楽しいものである
- 難しい技やクリエイティブな要素を入れるだけでなく、素晴らしいテクニックとフォームも同様に重要である
- これは人によって異なるが、トップ競技者の技術力の高さは、演技が簡単に見えることに現れる
- 例えば、良い姿勢である、足首が伸びている、背筋が伸びている、などが含まれるが、これだけに制限されない(他の要素もあり得る)
音楽にふさわしい振り付け
- 音楽は適切に使用されると演技全体が観ていてもっと楽しいものになる
- ゆえに、音楽は単なるバックグラウンドで流れるノイズになるのではなく、演技と一体にならなければならない
- 競技者は音楽との振り付けに全力で取り組む必要がある
- 例えば、アクセントをとる、ビートに乗って跳ぶ、全体的な雰囲気や感情を表現する、など
難易度(多くの難しい技、但し危険な技ではない)
- 勝つ演技は、難しい技が詰まったものである必要がある
- 単に、音楽に合わせて簡単な技を素晴らしいフォームで行った演技が勝ってはいけないと考えており、ディフィカルティは十分に評価されるべきである
- 競技者には、アスレティシズムの境界を押し広げる難しい技に挑戦して欲しいが、一方で安全でいて欲しい
- 技が完璧でなければ、難しい技・危険な技は行うべきではない(しっかりと準備しなければケガに繋がるため)
- ケガの防止に関しては、技術委員会が更に追求するべきことであり、なわとびコーチの教育・トレーニング、ジャッジシステムによって行われる可能性がある
クリーン(ミスがほとんどない場合に評価される)
- 非常に多くのミスがある演技は、パフォーマンスの価値を損なうと考え、ミス数に応じてスコアから減点される
- これにより、競技者は完璧な演技をするように促される
- しかしながら、競技者には"ワオ要素(Wow!と驚きの声が出るような要素)"を採り入れて欲しいとも思っており、ミス減点とディフィカルティ点のバランスが必要だと考えている
エンターテインメント(なわとび関係者以外にとっても観ていて楽しい)
- 新しいメンバーを魅了し、新しい観客を獲得することで業界を発展させるために、演技はなわとび界の内外のどちらにとっても観ていて楽しいものでないといけない
- 競技者が難しくオリジナリティ溢れる面白い演技を作り、音楽にふさわしい振り付けをし、テクニック・スタイル・総合的な能力が評価されるようにしたい
アスレチック(アスレティシズムとスタミナ)
- IJRU(International Jump Rope Union)は全ての加盟国においてなわとびを公式なスポーツであると認めてもらうために取り組む
- なわとびをスポーツとして宣伝するため、アスレティシズムとスタミナを示す必要がある
- 強さ、機敏さ、バランス、協調、スピードといったスポーツの基本的な要素をなわとびは持っている
- 世界大会ではこれらの要素を強調(ハイライト)する必要がある
長すぎず短すぎず
- 最大の時間制限をセットすることで、直接的に演技の長さを決めることはできる
- 技術委員会としては、演技の長さによって競技者が難しくエネルギーを消耗する技を抑制しないようにしたい
- 時間が長すぎれば、演技の最後は体力の限界が見えて簡単な技ばかりになるだろう
- 1つの解決策として、時間制限を長すぎないようにし、演技の最後で行われる技にディフィカルティ点を多く与えることがある
- 時間制限を短すぎるようにしたくもない、なぜならば、楽しませる振り付けやクリエイティブ要素を損なうかもしれないからだ
- ここでもバランスが大切だ
正しい採点(全てのレベル、演技で技の違いを認識する)
- ディフィカルティは、勝つ演技の主要な要素の1つである
- ディフィカルティを一貫して正確に採点するために、ディフィカルティレベルは比較的簡単に分かるようにしなければならない
- 技術委員会は簡単に教えられ実施できるディフィカルティジャッジシステムの構築に乗り出している
- これは、テクノロジーとデジタルツールによって更にサポートされる可能性がある
- ジャッジング中の人為エラーを抑えることで、ディフィカルティがイベントを通して正確に点数付けられるようになる
全てのタイプの技が入った演技(どの分野にも弱点がない)
- チャンピオンの演技は何か1つの要素に過剰に頼っていてはならない
- 例えば、多回旋系の技だけで構成された演技は繰返しばかりでつまらないだろう
- この点は、リクワイヤード・エレメンツにて評価される
- 勝つ演技の要素の多くはかなりの部分で重複している
- クリエイティブな方法で、適切なテクニックを使って高いレベルで行われ、難しいオリジナルな技が入っている、これらの要素が全て入っていると勝つ演技になるということが上記リストを読めばわかるだろう
- これから数か月に渡りルールとジャッジシステムを作っていくわけだが、ここで述べられた勝つ演技の要素を適切に評価できるように作っていくことになる
- 少し時間を頂き(原典の)下のページにあなたがどう思ったのかコメントを書いて欲しい。何か見逃していることはないだろうか、何かの要素は他のどれかよりも重要だろうか。フィードバックとあなたからの疑問を待っている
前回からの質問に答える
- Q1: 団体戦総合部門は4-5人?
- A1: この点は技術委員会によってノルウェーで話し合われた。世界中のなわとびシステムを考慮に入れた。その結果、4-6人で構成されたチームであれば問題ないという結論に達した。これはFISAC-IRSFとWJRFのどちらの現行ルールとも少し異なる。1人加えるオプションを付け足すことで、世界的に更に多く取り込むことができる
- Q2: 個人戦のSingle Ropeの重み付けはどうなる?フリースタイルの重みは他のスピードと同程度?3重とびは?
- A2: この点については技術委員会で正式に決まっていることはない。誰か提案や考えがあれば教えて欲しい。コミュニティのフィードバックを採り入れることを歓迎している。
発表されている資料を見る限り、まだ決まっていないことが多いということが分かるかと思います。